帯留め

帯留めとは、帯締めに通して帯を飾るアクセサリーです。
一般的には三分紐と呼ばれる、少し細くて短い帯締めに通しますが、帯留め自体が大きい場合は通常の帯締めに通すこともあります。

通常、礼装には帯留めを合わせませんが、これは帯留めの格式が低いためではなく、礼装用の帯締めは太く、帯留めを通せないためだと考えられています。
そのため、訪問着に帯留めを合わせて式典に出席するような着こなしは、普通に見られます。

ただし、お茶席の着物には、帯留めを使わない方がよいでしょう。
華美を嫌う茶道に装身具の帯留めは似つかわしくありませんし、道具を傷つける可能性がある硬い物は持ち込まないのがマナーとされています。

帯留めには難しいルールはなく、着物と帯に合いさえすれば、自由に選べます。
ブローチなどを加工して自作する人も多くいます。

あらかじめ帯締めに帯留めを通しておくのではなく、帯締めを締めた後で取り付けるタイプもあります。
こちらの方が使い方は簡単ですが、落としてしまうことがあるので注意が必要です。

帯締め

結んだ帯を最後に留める紐です。
これがほどけてしまうと、お太鼓が落ちてしまうという、とても重要なアイテムです。
また、帯の中央に来るため、非常に目立ちます。

趣向を凝らした帯締めもありますが、慣れないうちは締めやすさを重視した方がよいでしょう。
シンプルな組紐タイプの物が扱いやすいと思います。
丸ぐけという、綿を芯にして布でくるんだタイプの帯締めも締めやすいのですが、最近はあまり見かけません。

帯締めにも夏用と冬用がありますが、冠組(ゆるぎぐみ)の帯締めや、帯留めを通して使う三分紐は、通年使ってよいとされています。

夏用の組紐タイプの帯締めは、組み方が粗く隙間ができています。
レースのようで涼しげですが、隙間を作るために固い糸を使っているため、慣れるまでは締めにくいと思います。

半幅帯に帯締めは必要ありませんが、飾りとして使うことはよくあります。
この場合は緩んでも困らないので、珍しい素材の紐を使ったり、変わった結び方をして楽しめます。

帯揚げ

帯揚げとは、結んだ帯の形を固定するための布です。
とは言え、現在の結び方では一部を除いて帯枕がその役目を担っており、帯揚げは、帯枕を包み隠して帯の上を整える、装飾的な布という位置付けになっています。
帯枕を必要としない半幅帯の場合は帯揚げも必要ありませんが、装飾品として使うことはあります。

綺麗に結ぶにはコツがあり、慣れないと難しいかもしれません。
結ばずに、形を整えて帯と伊達締めの間に入れるというやり方もあります。

帯揚げにも冬物と夏物の区別があり、格の違いもあります。
基本的には、透け感のある素材なら夏物、それ以外は冬物と考えればよいでしょう。

主に使われる物は、絞り、綸子(りんず)、ちりめんです。
振袖には総絞りの帯揚げが普通ですが、これは格式の問題だけではなく、帯揚げにもボリューム感がないと着物と帯に負けてしまうという理由もあります。
礼装用には金糸入りの白が原則で、綸子か絞りを使います。

カジュアルな着物の場合、長方形のスカーフや、洋服地を切った物を使って楽しむ人もいます。

半幅帯

半幅帯は、通常の帯の半分の幅で帯の長さ全体を仕立てた物です。
小紋や紬などカジュアルな着物に合わせるのが原則で、礼装には使いません。
なお、袴を着るときには、振袖や色無地でも袴の下は半幅帯になります。

半幅帯は取り扱いが楽なことが特徴です。
普段着として使う物なので、細かなルールはなく、自由に結ぶことができます。
柄や素材にも特に決まりがないため、気に入った布で自作する人もいます。

自分で結ぶときには、体の前で結び、結んだ部分を後ろに回します。
自分の背中で形を作らなければならない名古屋帯や袋帯に比べると格段に結びやすく、初心者でも少し練習すれば、綺麗に形を作れるようになります。

基本の結び方として、文庫、貝の口などがありますが、蝶結びにしても構いませんし、補助的な紐を使って複雑な形を作る人もいます。
複雑な形を作るには、帯の長さが必要ですが、最近はそういった結び方を想定して、長めに作られている帯が多く出回っています。

袋帯

礼装には袋帯を使います。
4メートル以上の長さがあり、通常は二重太鼓にします。
振袖に合わせるのも袋帯で、この場合は振袖の豪華さに負けないよう、華やかな飾り結びをします。

礼装以外では名古屋帯を使うことが多くなったため、「袋帯=礼装用」という印象がありますが、カジュアル用の袋帯もあります。
「金糸や銀糸を織り込んだ袋帯」が礼装用とされますが、礼装用は見るからに豪華なので区別は容易です。
金糸や銀糸が使われていても少量で、小紋に合わせても違和感がないような物は、礼装用ではありません。

袋帯に入れる帯芯には、綿と絹がありますが、絹の方が上等というわけではありません。
固さが異なるため、好みで選びます。
リサイクル品の場合、以前の持ち主の好みで帯芯を入れていないことがあります。
帯地がしっかりとしていれば、そのまま使っても問題ないでしょう。
柔らかすぎて締めにくければ、仕立て直しができる所に頼んで芯を入れてもらうこともできます。

名古屋帯

帯の中で最も広く使われている帯が名古屋帯です。
一重太鼓(一般的なお太鼓結び)にすることが多いのですが、角出しも粋な帯結びとして人気があります。

「胴に巻く部分を二つ折りにして縫い付けた帯が名古屋帯」と説明されることがありますが、縫い付けられていない名古屋帯も普通にあります。
歴史的な背景を踏まえて説明する場合はこの説明で正しいのですが、手持ちの帯が名古屋帯かどうか判断する場合は、長さを見ます。
名古屋帯の長さは大体3.5メートルで、二重太鼓を結ぶには少し足りない長さです。

名古屋帯は柄や織り方などによって、さまざまな場面で使えます。
種類が多いだけに選ぶときにも迷いますが、基本的には着物に合うかどうかで決めればよいでしょう。
たとえば、カジュアル向きの可愛らしい名古屋帯は、訪問着に合わせると、帯が薄っぺらに見えてしまうと思います。
逆に、準礼装にも通用する重厚な古典柄の名古屋帯は、紬に合わせると、帯だけが浮いてしまうと思います。

素材について

一般的な着物は、正絹(しょうけん)と呼ばれる絹100%の生地から作られます。
しかし、これでは高価になりすぎるため、普段着には木綿やウールが使われていました。
また、夏の着物には、より涼しい麻が使われることもあります。

最近は技術が進み、ポリエステルの着物も広く使われています。
正絹は見栄えが良く、手触りも良いのですが、水に弱いという弱点があります。
ポリエステルは水に強く、雨の日にも安心して着ることができますが、静電気が起きやすく、物によっては安っぽく見えてしまいます。

頻繁に着るつもりであれば、ポリエステルの方が扱いやすくてよいでしょう。
でも、可能であれば、ポリエステルと正絹の両方を体験してみてください。
実際に着たり触ったりすると、違いがわかるようになります。
リサイクル品は古い物が中心なので、伝統的な正絹がほとんどです。

木綿やウールは着る場面が限られますが、こういった着物をさりげなく着るのも格好良く見えます。
これらは普段着なので、裏地は省略し、真冬でも単衣を着るという特徴があります。

サイズについて

リサイクル着物を購入するときには、どうしてもサイズの問題が出てきます。
大きな着物は、余った部分を上手に隠せば、十分に着ることができます。
しかし、小さな着物は、着付けの技術でもカバーしきれないことがあります。
リサイクル着物は昔の人の寸法で作られているため、サイズが小さいことが多いのです。

まず確認するのは裄丈(ゆきたけ)です。
これは、背中の中心から手首の長さです。
自分の裄丈を測ってもらい、着物の裄丈と同じか、着物の方が1~2センチ短いくらいがちょうどよいでしょう。
着付けで調整しづらいので、ここが合うかどうかが最も重要です。

次に身丈(みたけ)を確認します。
身丈とは、着物の長さのことです。
身長と同じか、10センチくらい長いとちょうどよいでしょう。
長い分には調整できますが、短すぎると着付けに苦労し、最悪の場合、足がはみ出してしまいます。

その他の部分は、だいたい身丈に合わせて調整されていますので、極端に痩せている人、太っている人でなければ、問題はないと思います。

初めての着物の選び方

お母さんやお祖母さんの着物がなく、譲ってくれそうな知り合いもいない場合、自分の着物を手に入れるには購入するしかありません。
最初の1枚にはどんな物を選べばよいのでしょうか。

プライベートで遊びに行くのが目的だとすれば、小紋か紬がよいでしょう。
どちらかといえば、小紋の方が広い場面で使えると思います。
また、1年のうちの半分以上は袷を着る季節なので、最初の1枚には袷の小紋がお勧めです。

帯は、半幅帯が簡単で良いのですが、略式過ぎると嫌う人もいます。
無難な物を選ぶなら、名古屋帯がよいでしょう。
袋帯でもよいのですが、カジュアル用を選んでも、多少は改まった印象になります。

柄の選び方にも注意が必要です。
季節の風物を取り入れた柄は、その季節にしか着ることができません。
最初は通年着ることができるよう、幾何学模様、種類を特定できない花、犬や猫などの動物がよいでしょう。

一見ただの幾何学模様なのに、実は季節を表す文様だったということもありますが、その程度は仕方ありません。
最初はわからなくて当然と割り切りましょう。
たとえ間違えても、具象的な絵柄と違って目立ちません。

12月の着物

12月といえばクリスマスです。
もともと日本にはなかった行事なので、クリスマス向けの着物の着方というのは、特に定まっていません。
友人とのクリスマスパーティーなら、自由な着方で楽しんでください。

レストランのクリスマスディナーなら、一応は伝統を踏まえた着こなしの方が、場に馴染むでしょう。
良い物なのに結婚式などには着て行けない小紋や紬を着るチャンスです。

食事の際には、どうすれば着物を汚さないで済むかが問題になります。
用意されているナプキンの端を上手に胸元で留めている人もいますが、慣れないうちは難しいと思います。
帯の上の部分に差し込んだ方が簡単でしょう。
着付け用の小さなクリップ(洗濯ばさみのような物)を持っていると、留めやすい所で留められ、落ちにくいので便利です。

12月にクリスマス柄の帯を締めている人は、着慣れている人だなという印象を受けます。
着ることができる期間がもう少し長い物としては、雪景色や雪の結晶など、雪をモチーフにした物があります。