文庫結びは、最も基本的な半幅帯の結び方ですが、袋帯の基本の結び方でもあります。
半幅帯や袋帯の変わり結びは数多くありますが、その多くは文庫結びからの派生系と言えます。
浴衣用の作り帯として売られている物は、ほとんどが文庫結びの形に仕上げられています。
現在ではお太鼓結びの方が一般的になっていますが、歴史は文庫結びの方が古く、1700年代の後半くらいに始まったと言われています。(お太鼓結びは1800年代に入ってから)
江戸時代、女性の帯の結び方には特に決まりがなく、それぞれの好みに合わせて自由に結んでいたようですが、武家の女性に関しては多くが文庫結びをしていたとされています。
おそらく、庶民が愛好していた垂れを下げた形よりも、垂れを帯の中にしまってきちんと整えた文庫の方が、武家の美意識に合っていたのでしょう。
文庫結びは若い女性の結び方だと言う人もいますが、見た目が可愛らしいためにそう思われているだけで、年齢に関係なく結んでよい結び方です。