科布(しなふ、しなぬの)

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科布とは、シナノキという木の樹皮から繊維を取り、この繊維で織った織物です。
いつ頃から作られていたかははっきりとしませんが、おそらく日本最古の織物の一つであろうと推定されています。
平安時代には、税として納められていたという記録があります。

丈夫で水濡れに強いという特徴があり、衣類に木綿が使われるようになってからも、穀物を保存する袋や酒を漉すための袋など、実用品に広く使われてきました。
昭和になって大量生産できる化学繊維が入ってくると、手間のかかる科布は一気に廃れてしまいますが、野性味のある独特の風合いが愛され、帯のほか帽子やバッグなどのファッション小物の素材として生き続けてきました。

かつては日本の各地で織られていましたが、現在でも生産を続けているのは、主に山形県と新潟県の一部地域です。
この地域の科布は「羽越しな布」(うえつしなふ)という名前で日本の伝統工芸品として指定を受けており、生産者の団体が技術継承や原材料の確保などに務めています。

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