刈安染めは、刈安という草で染めた黄色い染め物です。
非常に歴史が古く、奈良時代の資料群である「正倉院文書」の中に「刈安色」という言葉が出現しているそうです。
また、平安時代の中期に作られたとされている「延喜式」という資料には、刈安染めの方法が記載されています。
これらの資料から、この頃には既に、庶民の衣類の染料としても一般的に使われていたと考えられています。
刈安は、ススキに似ていて、それよりは少し小さな植物です。
日本のどこでも自生していた植物だったため、特定の地域の特産品としては扱われていませんが、滋賀県の物が品質が良いとされていたようです。
黄色の色素は、刈安が太陽の紫外線から身を守るために作り出す物なので、8月の終わり頃に刈り取った物を使うときれいな黄色が出るそうです。
刈安は、藍と重ねて緑色を作るのにも使われてきました。
なお、八丈島の特産品である黄八丈を染める草を現地ではカリヤスと呼んでいますが、これはコブナグサという別の種類の植物です。