着物の衿には大きく分けて、広衿、バチ衿、棒衿があります。
広衿は衿の内側が身頃に縫い付けられておらず、着るときに自分で二つ折りにして、衿先(衿の一番下)に向けて自然に広げます。
一般的な女性用の着物に多い衿で、衿幅を自分で決められ、ふっくらとした仕上がりになるのが特徴です。
バチ衿は衿先に向けて自然に広がるような形で、完全に身頃に縫い付けられています。着るときに折る手間がありません。
形が三味線のバチに似ていることからバチ衿と呼ばれ、女性用の浴衣の多くはバチ衿です。
広衿よりも着易い上に、作る側にとっても簡単です。
また、厚みが出にくい分涼しげに見えるので、浴衣以外の夏の着物をあえてバチ衿にする人も多いようです。
棒衿は、衿先まで一定の幅で身頃に縫い付けられている衿で、男性用と子供用の着物で一般的です。
バチ衿と同様に着易く、作りやすい構造です。
女性用の着物だけ衿先に向けて広くなっているのは、女性の胸に自然に沿わせるのに具合が良いためと考えられています。