12世紀末から、支配者階級の中心が貴族から武家に移ります。
鎌倉に幕府が置かれていた14世紀前半までが鎌倉時代、その後、京都に幕府が置かれた16世紀までを室町時代と呼びます。
武家は、元々は庶民で、力を持つことで高い地位を得た人々です。
そのため、平安時代までの貴族のような動きにくい服装よりも、庶民的な服を好む傾向があったようです。
こうして、正装の時は大袖を重ね着するものの、普段は小袖姿で過ごすという習慣が生まれました。
やがて、武家の好みを反映した独自の正装も作られるようになります。
束帯の重ね着を省略した物が「直垂」(ひたたれ)、十二単の重ね着を省略した物が「打掛」(うちかけ)です。
庶民の服は、平安時代からあった小袖でした。
資料によると、かなり裾を短くし、腰の部分で余った部分を折り返し、紐で押さえていたようです。
これが後のお端折りの原型になりますが、まだ幅広の帯は使われておらず、現在の着物姿とは少し違っています。
また、この頃から庶民でも経済的に豊かな人々が出るようになり、服装も華やかになっていきます。