羽二重は、撚っていない生糸を使って平織りされた布で、光沢があり、肌触りが良いのが特徴です。
織機で経糸を通す「筬羽」(おさは)に経糸を2本、つまり二重に通して織るために、「羽二重」という名前が付けられたいう説が有力です。
江戸時代には既に羽二重という言葉が使われていたことが確認されており、羽二重餅、羽二重団子のように、柔らかく滑らかな物の代名詞にもなっています。
以前は着物の表地としても使われていましたが、現在ではほとんど見かけません。
その理由は定かではありませんが、染めても綺麗に発色しないことがあると言われており、これが理由の一つかもしれません。
現在は滑らかさと軽さを生かし、白いまま胴裏に使われています。
また、留袖の下には本来、羽二重で作られた下着を着ることになっていました。
その名残として、ほとんどの場合、留袖の比翼は羽二重で作られています。
帯に使われる「塩瀬」は「塩瀬羽二重」の略称で、羽二重の一種ですが、太い糸を使って密に織り上げているために厚く硬くなっています。