着物に使われる絹糸には、一般的な正絹の着物に使われる生糸と、紬などに使われる紬糸があり、紬糸は真綿から紡がれます。
生糸は、蚕の繭をほどくようにして、蚕が吐いた糸を切らずに取り出して作ります。
この糸は800m~1500mくらいの長さがあり、これを何本か揃え、必要に応じて撚りをかけます。
ここまでの作業を行った糸を生糸と呼びます。
一方、真綿は、繭を薄く引き伸ばして作ります。
真綿の端から少しずつ糸状に繊維を引き出し、撚って作った物が紬糸です。
元々は傷や穴があって生糸を引き出せない繭(屑繭)を使って作っていたため、生糸よりもランクが落ちる製品とされていましたが、現在では貴重な伝統工芸品として扱われています。
生糸でも紬糸でもない絹糸として、紡績絹糸という物もあります。
これは、短い絹の繊維を撚り上げて糸にした物です。
光沢があまりないという欠点はありますが、柔らかく、屑繭からでも簡単に作ることができます。
紡績絹糸は洋服地に広く使われているほか、昔は銘仙にも使われていました。