衿の中心部分は二重になっていますが、衿の上に被せた形になっている布を共衿、または掛衿と呼びます。
一般的には着物の共布で作られていると共衿、別の布で作られていると掛衿と呼ばれるようですが、共布でも掛衿と呼ばれることがあり、一定しません。
同じ意味だと考えてよいでしょう。
衿は特に汚れや傷みが生じやすい箇所なので、衿だけを外して洗ったり付け替えたりできるように掛衿が被せられています。
時代劇を見ていると、衿の部分だけ黒い着物を着ている女性が出てくることがありますが、あの黒い布が掛衿です。
当時は衿汚れが目立たないよう、黒い掛衿をするのが流行したようです。
本来はこのように掛衿を上から被せるのですが、現在はコストダウンの目的で、掛衿が掛かっているように見せかけて折っただけの作りにしてある物もあります。
また、大柄な人のための着物で袖に足し布をしている場合、掛衿が取れなくなってやむをえず折っただけの作りにすることもあります。
このような着物は衿の修理ができませんが、着用には問題ありません。