着物を作る反物の幅は決まっていて、長さも大体決まっています。
最近は日本人の体格も良くなってきて、それに対応するために反物のサイズも少し大きくなってきてはいますが、それでも特に大柄な人だと足りなくなることがあります。
長さが足りない場合に対応する方法は比較的簡単で、別の反物から足りない分(通常は片袖分)を取ります。
幅が足りない場合は、袖の身頃側に布を足して伸ばします。
身頃部分は元々縫い代をたくさん取っているので、縫い代を減らせば十分な幅が出せるはずですが、それでも足りない場合は身頃の脇側に布を足します。
このように幅を出すことを「割を入れる」と言います。
昔も相撲取り(力士)は大柄だったので、割を入れた着物を着ることは普通でした。
また、力士は大柄な方が基本的に強いので、まだ地位が低い力士も将来大きくなることを願い、必要がなくても割を入れて着物を仕立てることがあったそうです。
この習慣から、割を入れた着物は現在でも「将来大きくなる」という願いを込めた縁起の良い物として扱われています。