絣とは、先染めの糸で模様を織り出した布です。
一言で表すと簡単そうですが、実際には、織り上がった状態から逆算して糸を染め分け、それを計画どおりに織るために、高い技術と手間を必要とします。
染め分けられた糸のことを「絣糸」と呼び、絣糸を経糸(たていと)に使うか緯糸(よこいと)に使うかによって、経絣、緯絣、経緯絣に区別されます。
絣糸は、糸の一部を別の糸で覆い、その部分だけ色が付かないようにしてから染めて作られます。
多くの産地では防染用の糸を巻いて結ぶという方法をとっていますが、織機を使って防染糸を織り込むという方法もあります。
この方法を使うと、手作業ではできない細かな染め分けができ、たとえば、大島紬の細かな模様は、この方法で作られています。
手作業で作られる絣は、熟練した職人が一反を織るのに数か月かかる貴重品です。
現在では、伝統工芸品として技術の保存がされる一方で、一般向けの製品については機械化が進められ、手に入りやすい価格で出回るようにもなりました。